2010年8月6日金曜日

木造軸組工法の盲点は釘にあり!



 最近の住宅は、筋交いだけでなく構造用合板で壁倍率を確保することが一般的となって来ました。設計においては簡単な計算で木造住宅の耐震強度を持たることができますが、しかし、現場では意外と強度の足りない耐震壁が作られているのです。問題は「釘」にあります。

 基準法では使用する釘の種類やピッチが決められているのですが、現場では間違った釘が使われていることが多々あります。釘については実は、設計者も大工さんもよく分かっていないのです。ツーバイは元々枠組み工法なので釘が命であり、ツーバイ専用のCN釘(太め鉄丸くぎ)が使われていますが、在来ではN釘(鉄丸くぎ)を使わなければならないことになっています。しかし、法律で決められていながら、関東地方にはN釘が殆ど流通していなかったという事情(木構造建築研究所 田原の田原所長に伺いました)もあり、大工さんも殆どよく分からずに梱包用に使う様なNC釘(ロールくぎ)などが使われていたりしました。これでは、計算上の強度はでないため、法改正された関西淡路大震災以降も在来工法の住宅では結構、強度不足の住宅が多く存在するものと思われます。

 また、現在は殆ど釘打ち機が使われるので、釘頭が合板の中にめり込んでいる場合も多く、これもまた強度不足の原因になっています。

 そこで、今日、紹介するのが安田工業の「スーパーLL釘」です。これはステンレス製の釘で、釘胴部にスクリューニング加工を施すことで抜けに対処し、釘頭を大きくする事で釘頭の合板貫通を防止したものです。勿論、国交省の認定を受けた商品で、その実験結果からも釘によって耐震強度が大きく違ってくることを実証しています。
 値段は勿論、少し高いですが、家一軒分で+5万円程度のものです。地震国日本で安全に賭ける費用としては微々たるものと言えるでしょう。

 ちなみに、安田工業は安田財閥の創始者、安田善次郎が作った東洋初の洋釘会社です。
(写真左からNC釘、N釘、スーパーLL釘)

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