2014年3月15日土曜日

トリプルガラス入りの木製断熱サッシ

北海道では断熱に対する要請が厳しいので、熱損失の大きい窓についてはそれこそ高性能な断熱サッシが求められています。

現在、最も性能の高いサッシはトリプルガラス入りの木製サッシで、国内でも結構作られていますが、やはり値段が高いため、多くは北欧・北米で作られているサッシを輸入して使われているケースが多いと言えるでしょう。

首都圏においては、相当マニアックでお金のある人ぐらいしか使えない代物で、スエーデンハウスやOMソーラー関係で大量仕入れでコストダウンできるところ以外、一般の設計者にとっては、アルミの断熱サッシを使えるくらいで上等と言えるところですが、私の場合、結構、ポイント的には木製サッシを使っています。

プレーリーホームズの”レノホンダ”というシリーズで、これはスエーデンから輸入しているトリプルガラス入りの木製断熱サッシです。

種類は限定されているのですが、私は1200角の横軸回転窓を好んで使っています。1台8万円くらいで入るので、この手のサッシとしては最も安いのではないでしょうか?(以前UPした「スノコの外壁を可能にする透湿防水シート」の記事の写真にも載っています。)

2014年3月12日水曜日

ホウ酸系の安全な防蟻剤

木造住宅の土台にはヒノキの心材を使うのが私の事務所としての一般仕様で、価格的には安くても防腐剤注入材は使いません。本当はヒバ材を使いたいのですが、ヒバは関東県では入手困難で、基本的にはできるだけ気候条件の合った近県材を使うという方針です。

さらに、地盤面から1mの高さまでの木部には防蟻処理をしなければならないので、一般的には相変わらず農薬由来の劇薬を塗って(吹き付けて)シロアリに対処しようという感じなのですが、私の事務所ではボロン・デ・ガード・プロとか、エコボロンといったホウ酸系の薬剤を使用しています。

これらはアメリカ産の防蟻剤で、日本に生息するシロアリよりも強力なアメリカカンザイシロアリを駆除する為に開発されたものですが、透明な水飴の様な状態の液剤を水に溶かして、それを木部にハケで塗ります。

この薬剤はその毒性によってシロアリを殺すのではなく、シロアリが体内に取り込んだ時に、その消化を妨げる事によってシロアリをやっつける、というもので、殆ど匂いもなく、なめても問題ありません。ホウ酸は目薬にも入っている位ですから、農薬系の薬剤に比べたら私達の健康に対しては極めて安全性の高い薬剤と言えます。

ただ、防蟻業者にははなはだ嫌われています。木材表面に塗るもので、農薬系に比べて木材の中への浸透性が低いので、水に濡れると落ちてしまう、と言って何とか避けようとしますが、結局、これらのホウ酸系の防蟻剤は大工さんでも、素人さんでも誰でも手軽に塗れるので、誰にでも扱えなかった防蟻処理という特権を失ってしまうという危機感があるのかもしれませんね。

2014年2月25日火曜日

お洒落なものが安く何でもそろうサンワカンパニー

サンワカンパニーはネット上で様々な建材、住設機器を売っている建材商社、否、独自に開発している製品も多いので、メーカーと言ってもいいのかもしれません。ネット販売なので価格がクリアーで安く、安いのにデザインがシンプルでお洒落、建築家好みでなかなかいいのです。あまり安いのでショールームに実際の品物を確認に行くことも度々ありますが、結構使えます。

 写真は洗面化粧台で「トロピカ+カリッサセット」にウォールミラー(収納三面鏡)ですが、これらを家具工事として造作すると倍の金額になってしまうし、下手なメーカー品よりもずっと安くお洒落です。

 私がよく使うのは、艶っ艶なウレタン塗装を施した「グロッシー」という収納家具で、これをトイレや洗濯機の収納として使います。その他、結構頻繁に使っているのは、グッドデザイン賞を取った階段手摺「ハンドレール」、色々組み合わせができる「レンジフード・ミニマル」、自社開発のキッチンパネル、それにウッドデッキなどです。

 皆さんも一度、ショールームに行って見て下さい。物と値段を見て、他のメーカーと比較してみれば、使えそうなものが沢山見つかるはずです。

2014年2月21日金曜日

ホタテ貝殻の内装塗装

 住宅の内装をクロス貼りにする、というのは私の事務所では殆どありません。お金があれば左官で漆喰を塗り、それが無理なら塗装タイプの漆喰をローラーや吹き付けで仕上げたりしてきましたが、どうしても気になるのがクラックです。

これは塗り壁の宿命の様な感じもしますが、最近ではホタテ貝殻の粉末から作られるチャフウォールシェルウォールといった塗装をしています。

最近流行りの健康素材ですが、価格的にはリーズナブルで、VOCの低減、吸放湿性、抗菌・防カビ、防火性があるという試験データが出されています。ローラーや刷毛塗りもできますが、吹き付けがやはり仕上がりが奇麗なので、吹き付けで施行しています。

現段階でチャフウォールで施行した現場でいくつかクラックの発生を確認していますが、シェルウォールはその謳い文句に「柔軟性があり、クラックが入りにくい」と書かれており、シェルウォールを施行した現場では現状、クラックをまだ確認していません。状況を見てこのままクラックの発生がなければ、シェルウォールを使ってゆこうかと思っています。

いづれにしろ、塗装仕上げとしては漆喰ほどしっとりとした感じにはなりませんが、十分合格点をあげられる仕上げです。

大和重工のいものホーロー浴槽

 設計事務所としては住宅の浴室に既成のユニットバスを入れることはまずありません。浴室は最もデザインしたい場所であり、私の個人的な趣味としてはいつも「露天風呂」を目指しているのです。

浴室はできるだけ開放的に気持ちのよい空間にしたいと思っています。高密度の首都圏ではなかなか外に向けて開くことは難しいのですが、中庭やちょっとした坪庭を設けたりして、窓を開けて入浴ができる様にいつも工夫しています。

 さて、浴室を作る上で重要なのは内装で、私の場合、最近では殆どサワラなどの水に強い無垢の板材を壁・天井に張っています。これはちょっと高級な旅館の浴室の様で、香りも良く気分的にとてもリラックスできます。

次に大事なのが浴槽ですが、私は大和工業のいものホーロー浴槽を使っています。大和工業はいものホーロー浴槽の専門メーカーで、ある大手のメーカーの製品の中にラインナップされているホーロー浴槽も実はこの大和工業が作っているのです。ですから、メーカー品よりも安く良い品を選ぶことができます。

私は大和工業のラインナプの中でも最もシンプルなCASTIEというシリーズが気に入って使っています。

2014年2月20日木曜日

スノコの外壁を可能にする透湿防水シート

 今では木造の外壁には必ず「通気層」を設け、その下地として必ず「透湿防水シート」が用いられる様になりましたが、そうせざるを得なくなったのは、外壁に透湿性の乏しいサイディング等の石油化学建材が用いられる様になり、室内で発生した水蒸気の逃げ場が亡くなり、その結果、木造住宅の耐久性を著しく損なうことになったからです。日本の木造住宅の寿命が25年しか保たなくなってしまった主な原因がここにあります。

 今では建材メーカー各社からこの「透湿防水シート」が出ていますが、色はどれも白で、そこに工務店やハウスメーカーのロゴを印刷する様なサービスをしているメーカーもあります。外壁を仕上げるまでの工事期間中、多少とも宣伝効果があるのかもしれませんね?

 さて、今回紹介させて頂くのは、ドイツで作られているソリテックスWAという透湿防水シートです。これは、国産のシートが白い紙の様な素材であるのに対して、黒くしっかりとした厚みのある素材で、耐久性があり、紫外線にも強いということで、1週間ほど日向でこのシートに水を溜めておいてみましたが、水漏れはまたくなく、紫外線に対しても問題はなさそうでした。

 今回はこのソリテックスWAを張った上に通気胴縁を打ち、その上に以前紹介させて頂いたエステックウッドの板材を16mmの隙間を空けて、スノコ状に張ってみました。隙間から中を覗き込むと、黒いソリテックスWAが見えていますが、全く気にならず、今までにない外壁の表情を作ることができました。これは言って見れば、外壁材がソリテックスWAで、その上に化粧として板が張られている、という状況です。

 ソリテックスWAの耐久性に信頼がおけなければ不可能な意匠であり、これは同時にかつてない透湿性の高い外壁を実現したとも言えます。ソリテックスWAを使ってまだ様々な外壁の可能性を模索できるのではないでしょうか?

基礎外断熱にミラポリカフォーム

 高断熱住宅はグラスウール等の繊維系断熱材を軸組の中に挿入する「充填断熱(内断熱)」と発泡プラスチック系の断熱材を軸組の外側に貼付ける「外張り断熱(外断熱)」に大別されますが、では、基礎はどうするか? と言えば、これは発泡プラ系断熱材を基礎の立ち上がり部分の外側に設ける場合と、内側に設けるという2通りのやり方があります。

 外張り断熱を考えた場合、建物を外側ですっぽり覆う、というのが明快で理想的なのですが、首都圏等の温暖地においては、基礎外断熱とすると、シロアリが発泡系断熱材の中に蟻道を作って土台に侵入してくる懸念があるため、これまで基礎内断熱とするのが一般的であった様に思います。

 しかし、最近は「防蟻断熱材」なるものが開発され、にわかに普及して来ている様です。現在、国内で販売されている防蟻断熱材は、
(1)パフォームガード
(2)スタイロフォームAT
(3)TBボード
(4)ミラポリカフォーム
の4種類で、EPS系の(1)が最も早く販売を開始し、(1)(2)は発泡時に防蟻剤を混入したもの(防蟻剤の成分については不明)で、(3)はホウ酸系の薬剤を仕様しています。

 (4)は、ポリカーボネート樹脂を発泡した断熱材で、それ自体がシロアリの食害を殆ど受けないので、薬剤は一切使用されていない人と環境に優しい断熱材と言えます。
 (1)(2)(3)は、防蟻効果がどのくらい保つものなのか? という懸念がありますが、(4)のミラポリカフォームはそうした心配のない防蟻断熱材と言えるかもしれません。

(写真はミラポリカフォームによる基礎外断熱)