2010年8月16日月曜日

土台気密パッキン「ノルシール」


土台気密パッキンとは主に高気密・高断熱住宅で使われるものである。

温暖地においては、床下を「外」と考える伝統があるので、床下換気口を付けたり、最近では基礎天端と土台に間に基礎パッキンで隙間を空けて、そこから床下の換気をしているのが一般的だが、高気密・高断熱住宅では床下も「室内」と考えるので、基礎天端と土台の間に隙間ができない様にするために、「気密パッキン」が必要になる。

この気密パッキンはメーカー各社から出されているが、その多くはEPDMゴム発泡体で作られている。

EPDMフォームは高圧縮時には高い気密性を発揮するが、少しでも圧縮率が下がると気密性能が大幅に低下してしまうという欠点がある。

ここで紹介する「ノルシール」はPVCを機材とした独立気泡構造を持つ発泡シール材で、元々、機械関係の接合部の気密、防水パッキンとして使用されており、対薬品性、摩耗性に優れ、柔軟性に優れており、経時変化に対しても、また、低圧縮時においても高い気密性を保持する。

住宅用としてはまだメジャーではないが、基礎天端に不陸があっても気密性能を発揮できるので、こだわりのある設計者にとっては、ちょっと隠れたお薦め建材である。

住宅の土台用気密パッキンとしての製品「ノルシール」は、「共ショウ」という会社から発売されており、防湿フィルム付きで位置決めがし易い様になっている。

2010年8月10日火曜日

石化する塗り壁「モノプラルKS」の魅力


イタリアの街の旧市街を歩くと、外壁の大きな石積みに圧倒されるものだが、それもおよそルネサンス期までの建物で、ヨーロッパの町並みを構成する建物の多くはレンガ積みに塗り壁を施されたものである。

フランス等で長年培われたそうした塗り壁材を日本に取り入れたのがゲーテハウスの「モノプラルKS」である。

これは生石灰を主成分としているため、施工後、長い年月をかけて空気中のCO2と反応して石化、即ち、石灰岩になってゆく、という代物。

天然顔料によりカラーバリエーションも豊富で、色落ちの心配もなく、塗り替えの必要がない。

防水性が高く、かつ透湿性があるため、壁内結露の心配も少ない。

しかし、この材料の魅力は、まず、壁に模様を入れたり、ボーダーを入れたり、ひとつの平面を自由に塗り分けられることである。

さらに、自由に凹凸を付けたり、レリーフを施すこともできる。

マットな重厚な感じのテクスチャーもなかなかいい。

これでヨーロッパ調の家が自由に造れるが、日本という土地でこれを使ってどうデザインするかは、設計者の力量にかかっている。

2010年8月6日金曜日

木造軸組工法の盲点は釘にあり!



 最近の住宅は、筋交いだけでなく構造用合板で壁倍率を確保することが一般的となって来ました。設計においては簡単な計算で木造住宅の耐震強度を持たることができますが、しかし、現場では意外と強度の足りない耐震壁が作られているのです。問題は「釘」にあります。

 基準法では使用する釘の種類やピッチが決められているのですが、現場では間違った釘が使われていることが多々あります。釘については実は、設計者も大工さんもよく分かっていないのです。ツーバイは元々枠組み工法なので釘が命であり、ツーバイ専用のCN釘(太め鉄丸くぎ)が使われていますが、在来ではN釘(鉄丸くぎ)を使わなければならないことになっています。しかし、法律で決められていながら、関東地方にはN釘が殆ど流通していなかったという事情(木構造建築研究所 田原の田原所長に伺いました)もあり、大工さんも殆どよく分からずに梱包用に使う様なNC釘(ロールくぎ)などが使われていたりしました。これでは、計算上の強度はでないため、法改正された関西淡路大震災以降も在来工法の住宅では結構、強度不足の住宅が多く存在するものと思われます。

 また、現在は殆ど釘打ち機が使われるので、釘頭が合板の中にめり込んでいる場合も多く、これもまた強度不足の原因になっています。

 そこで、今日、紹介するのが安田工業の「スーパーLL釘」です。これはステンレス製の釘で、釘胴部にスクリューニング加工を施すことで抜けに対処し、釘頭を大きくする事で釘頭の合板貫通を防止したものです。勿論、国交省の認定を受けた商品で、その実験結果からも釘によって耐震強度が大きく違ってくることを実証しています。
 値段は勿論、少し高いですが、家一軒分で+5万円程度のものです。地震国日本で安全に賭ける費用としては微々たるものと言えるでしょう。

 ちなみに、安田工業は安田財閥の創始者、安田善次郎が作った東洋初の洋釘会社です。
(写真左からNC釘、N釘、スーパーLL釘)

2010年7月31日土曜日

外付けブラインドシャッター


夏場の日射遮蔽の手段は、軒の出や庇の長さをきちんと計算して設けるのが、今でも最も効果的な方法である。

しかし、東面や西面については太陽高度が低いので、軒の出や庇では対応できない。

昔ならヨシズを下げて対処したものだが、いづれにしろ、日射は部屋の外で遮るのが肝要である。

最近は土地が狭いためか、デザイン的にモダンな感じが求められるためか、屋根は殆ど軒の出はなく庇もない家が多い。

そこで、夏場の日射を遮るのはブラインドやカーテンに頼らざるを得なくなるが、窓の室内側に設けるブラインドでは太陽の熱を50%も遮る事はできない。

ここで紹介するのは、オイレスECOの電動式ブラインドシャッター「サンシャディ」である。

サッシの外側に取り付け、自由に羽根の角度を調整でき、シャッターとして完全に閉め切ることができる。

この効果は抜群で、どの方位に対しても日射をしっかり遮る事ができるので、室内の温度環境をしっかり保つ事ができる。

オイレスECOでは、この他、手動式のブラインドシャッター「ミラレス」もあり、これらは、サッシメーカーのシャッターと比べてもその機能性と意匠性が高く、愛用の一品である。

2010年7月22日木曜日

主婦が選ぶ洗面化粧台


住宅の設計をしていると、主婦からは「できるだけ掃除がし易い様に、、」という注文が必ず付く。
先行きの見えない時代、共働きの家庭も多いが、それでも家の管理は主婦に任されているのが現実だから、できるだけ掃除が楽な家にしたい、というのは主婦の宿願とも言えるだろう。
そんな主婦達が洗面化粧台を選ぶ時に、最近最も多いのが、

INAXのピアラ。

洗面ボウルの背面がせり上がっていて、そこに水栓が付いている。
洗面器の外に水栓を付けると、そこが汚れ易く、掃除がし難いと言う訳である。
ピアラは、バリエーションのある収納家具付きの洗面器だが、単品でも取り付けられる。
ここでは施主の要望に合わせて、化粧台を大工さんに造作してもらった。
メーカー各社から多くの洗面器が出ている中から選ばれる「ピアラ」は、結構、主婦の気持ちに応えている様だ。

2010年7月9日金曜日

フラットに使えるフロアコンセント

フロアコンセントは、使用する時に床面から差込み口が跳ね上がって使用するタイプのものが一般的だが、寺田電機製作所のバリアフリーフロアコンセントCEAシリーズは、フタを開けると中に2口のコンセントがあり、そこに差込んでフタを閉め、コードだけを出す事ができるので足を引っかけてつまづくこともない、グッドデザイン賞のフロアコンセント。うちの事務所では壁から離れたダイニングテーブルの下に付けることが多い。最近の食卓はホットプレートをよく使うので結構、重宝している。

2010年6月25日金曜日

凄い透湿面材!「ケナボードS」


 最近の木造住宅では外壁面に構造用合板を貼って壁倍率を確保するのが一般的になってきましたが、構造用合板は透湿抵抗が大きいので、充填断熱を考えると室内側に気密シートを貼らなければ内部結露の危険性が高いと言えます。

 しかし、一般的にはこうした内部結露の問題には無頓着な設計者が多く、高気密・高断熱を意図しなければ気密シート張りをする設計者は殆どいません。

 例え、気密シート張りをしても首都圏の温暖地では気密シートの意味を良く理解している施工者が少なく、いい加減な施工がなされて、内部結露を引き起こしているケースが多いと言えるでしょう。

 そこで今日ご紹介するのが、パナソニックの「ケナボードS」という面材です。これは多年草のケナフから作られた透湿面材で、透湿抵抗が構造用合板の1/10しかありません。しかも、僅か4.5mmの厚さで構造用合板以上の壁倍率が確保できるという優れものです。
 これを使えば、首都圏地域なら、気密シート張りなどしなくても内部結露の心配の少ない充填断熱ができます。

 同様に杉皮や杉の未利用材から作られたエコ建材として以前からダイケンが出している「アセダスD」があります。これは、壁倍率が1しかありませんが、ケナボードよりずっと価格が安いので、私はこの2つの面材を巧く使い分けています。

 長持ちする家を作りたければ、こうした透湿性のある材料を巧く組み合わせて内部結露の心配の少ない家づくりを心掛けたいものです。
 日本の木造技術は、できるだけ湿気を溜めない技術だったのです。それは今でも変わりません。

(写真、下の青いボードがアセダスD、上がケナボードS)