住宅の内装をクロス貼りにする、というのは私の事務所では殆どありません。お金があれば左官で漆喰を塗り、それが無理なら塗装タイプの漆喰をローラーや吹き付けで仕上げたりしてきましたが、どうしても気になるのがクラックです。
これは塗り壁の宿命の様な感じもしますが、最近ではホタテ貝殻の粉末から作られるチャフウォール、シェルウォールといった塗装をしています。
最近流行りの健康素材ですが、価格的にはリーズナブルで、VOCの低減、吸放湿性、抗菌・防カビ、防火性があるという試験データが出されています。ローラーや刷毛塗りもできますが、吹き付けがやはり仕上がりが奇麗なので、吹き付けで施行しています。
現段階でチャフウォールで施行した現場でいくつかクラックの発生を確認していますが、シェルウォールはその謳い文句に「柔軟性があり、クラックが入りにくい」と書かれており、シェルウォールを施行した現場では現状、クラックをまだ確認していません。状況を見てこのままクラックの発生がなければ、シェルウォールを使ってゆこうかと思っています。
いづれにしろ、塗装仕上げとしては漆喰ほどしっとりとした感じにはなりませんが、十分合格点をあげられる仕上げです。
(株)野平都市建築研究所が、これまでの家づくりで使用してきた様々な建築材料の中から、これはいい! と思ったものを独断と偏見で紹介するブログです。ぜひ、あなたの家づくりの参考にして頂ければ幸いです。
2014年2月21日金曜日
大和重工のいものホーロー浴槽
設計事務所としては住宅の浴室に既成のユニットバスを入れることはまずありません。浴室は最もデザインしたい場所であり、私の個人的な趣味としてはいつも「露天風呂」を目指しているのです。
浴室はできるだけ開放的に気持ちのよい空間にしたいと思っています。高密度の首都圏ではなかなか外に向けて開くことは難しいのですが、中庭やちょっとした坪庭を設けたりして、窓を開けて入浴ができる様にいつも工夫しています。
さて、浴室を作る上で重要なのは内装で、私の場合、最近では殆どサワラなどの水に強い無垢の板材を壁・天井に張っています。これはちょっと高級な旅館の浴室の様で、香りも良く気分的にとてもリラックスできます。
次に大事なのが浴槽ですが、私は大和工業のいものホーロー浴槽を使っています。大和工業はいものホーロー浴槽の専門メーカーで、ある大手のメーカーの製品の中にラインナップされているホーロー浴槽も実はこの大和工業が作っているのです。ですから、メーカー品よりも安く良い品を選ぶことができます。
私は大和工業のラインナプの中でも最もシンプルなCASTIEというシリーズが気に入って使っています。
浴室はできるだけ開放的に気持ちのよい空間にしたいと思っています。高密度の首都圏ではなかなか外に向けて開くことは難しいのですが、中庭やちょっとした坪庭を設けたりして、窓を開けて入浴ができる様にいつも工夫しています。
さて、浴室を作る上で重要なのは内装で、私の場合、最近では殆どサワラなどの水に強い無垢の板材を壁・天井に張っています。これはちょっと高級な旅館の浴室の様で、香りも良く気分的にとてもリラックスできます。
次に大事なのが浴槽ですが、私は大和工業のいものホーロー浴槽を使っています。大和工業はいものホーロー浴槽の専門メーカーで、ある大手のメーカーの製品の中にラインナップされているホーロー浴槽も実はこの大和工業が作っているのです。ですから、メーカー品よりも安く良い品を選ぶことができます。
私は大和工業のラインナプの中でも最もシンプルなCASTIEというシリーズが気に入って使っています。
2014年2月20日木曜日
スノコの外壁を可能にする透湿防水シート
今では木造の外壁には必ず「通気層」を設け、その下地として必ず「透湿防水シート」が用いられる様になりましたが、そうせざるを得なくなったのは、外壁に透湿性の乏しいサイディング等の石油化学建材が用いられる様になり、室内で発生した水蒸気の逃げ場が亡くなり、その結果、木造住宅の耐久性を著しく損なうことになったからです。日本の木造住宅の寿命が25年しか保たなくなってしまった主な原因がここにあります。
今では建材メーカー各社からこの「透湿防水シート」が出ていますが、色はどれも白で、そこに工務店やハウスメーカーのロゴを印刷する様なサービスをしているメーカーもあります。外壁を仕上げるまでの工事期間中、多少とも宣伝効果があるのかもしれませんね?
さて、今回紹介させて頂くのは、ドイツで作られているソリテックスWAという透湿防水シートです。これは、国産のシートが白い紙の様な素材であるのに対して、黒くしっかりとした厚みのある素材で、耐久性があり、紫外線にも強いということで、1週間ほど日向でこのシートに水を溜めておいてみましたが、水漏れはまたくなく、紫外線に対しても問題はなさそうでした。
今回はこのソリテックスWAを張った上に通気胴縁を打ち、その上に以前紹介させて頂いたエステックウッドの板材を16mmの隙間を空けて、スノコ状に張ってみました。隙間から中を覗き込むと、黒いソリテックスWAが見えていますが、全く気にならず、今までにない外壁の表情を作ることができました。これは言って見れば、外壁材がソリテックスWAで、その上に化粧として板が張られている、という状況です。
ソリテックスWAの耐久性に信頼がおけなければ不可能な意匠であり、これは同時にかつてない透湿性の高い外壁を実現したとも言えます。ソリテックスWAを使ってまだ様々な外壁の可能性を模索できるのではないでしょうか?
今では建材メーカー各社からこの「透湿防水シート」が出ていますが、色はどれも白で、そこに工務店やハウスメーカーのロゴを印刷する様なサービスをしているメーカーもあります。外壁を仕上げるまでの工事期間中、多少とも宣伝効果があるのかもしれませんね?
さて、今回紹介させて頂くのは、ドイツで作られているソリテックスWAという透湿防水シートです。これは、国産のシートが白い紙の様な素材であるのに対して、黒くしっかりとした厚みのある素材で、耐久性があり、紫外線にも強いということで、1週間ほど日向でこのシートに水を溜めておいてみましたが、水漏れはまたくなく、紫外線に対しても問題はなさそうでした。
今回はこのソリテックスWAを張った上に通気胴縁を打ち、その上に以前紹介させて頂いたエステックウッドの板材を16mmの隙間を空けて、スノコ状に張ってみました。隙間から中を覗き込むと、黒いソリテックスWAが見えていますが、全く気にならず、今までにない外壁の表情を作ることができました。これは言って見れば、外壁材がソリテックスWAで、その上に化粧として板が張られている、という状況です。
ソリテックスWAの耐久性に信頼がおけなければ不可能な意匠であり、これは同時にかつてない透湿性の高い外壁を実現したとも言えます。ソリテックスWAを使ってまだ様々な外壁の可能性を模索できるのではないでしょうか?
基礎外断熱にミラポリカフォーム
高断熱住宅はグラスウール等の繊維系断熱材を軸組の中に挿入する「充填断熱(内断熱)」と発泡プラスチック系の断熱材を軸組の外側に貼付ける「外張り断熱(外断熱)」に大別されますが、では、基礎はどうするか? と言えば、これは発泡プラ系断熱材を基礎の立ち上がり部分の外側に設ける場合と、内側に設けるという2通りのやり方があります。
外張り断熱を考えた場合、建物を外側ですっぽり覆う、というのが明快で理想的なのですが、首都圏等の温暖地においては、基礎外断熱とすると、シロアリが発泡系断熱材の中に蟻道を作って土台に侵入してくる懸念があるため、これまで基礎内断熱とするのが一般的であった様に思います。
しかし、最近は「防蟻断熱材」なるものが開発され、にわかに普及して来ている様です。現在、国内で販売されている防蟻断熱材は、
(1)パフォームガード
(2)スタイロフォームAT
(3)TBボード
(4)ミラポリカフォーム
の4種類で、EPS系の(1)が最も早く販売を開始し、(1)(2)は発泡時に防蟻剤を混入したもの(防蟻剤の成分については不明)で、(3)はホウ酸系の薬剤を仕様しています。
(4)は、ポリカーボネート樹脂を発泡した断熱材で、それ自体がシロアリの食害を殆ど受けないので、薬剤は一切使用されていない人と環境に優しい断熱材と言えます。
(1)(2)(3)は、防蟻効果がどのくらい保つものなのか? という懸念がありますが、(4)のミラポリカフォームはそうした心配のない防蟻断熱材と言えるかもしれません。
(写真はミラポリカフォームによる基礎外断熱)
外張り断熱を考えた場合、建物を外側ですっぽり覆う、というのが明快で理想的なのですが、首都圏等の温暖地においては、基礎外断熱とすると、シロアリが発泡系断熱材の中に蟻道を作って土台に侵入してくる懸念があるため、これまで基礎内断熱とするのが一般的であった様に思います。
しかし、最近は「防蟻断熱材」なるものが開発され、にわかに普及して来ている様です。現在、国内で販売されている防蟻断熱材は、
(1)パフォームガード
(2)スタイロフォームAT
(3)TBボード
(4)ミラポリカフォーム
の4種類で、EPS系の(1)が最も早く販売を開始し、(1)(2)は発泡時に防蟻剤を混入したもの(防蟻剤の成分については不明)で、(3)はホウ酸系の薬剤を仕様しています。
(4)は、ポリカーボネート樹脂を発泡した断熱材で、それ自体がシロアリの食害を殆ど受けないので、薬剤は一切使用されていない人と環境に優しい断熱材と言えます。
(1)(2)(3)は、防蟻効果がどのくらい保つものなのか? という懸念がありますが、(4)のミラポリカフォームはそうした心配のない防蟻断熱材と言えるかもしれません。
(写真はミラポリカフォームによる基礎外断熱)
2013年7月12日金曜日
板張り外壁なら”エステックウッド”がお薦め
防火の制限がないところでは、外壁に耐久性を考慮した焼き杉板やレッドシダーなどの無垢の板材を使用することが多いのですが、私たちがそのなかでも注目しているのが江間忠木材のエステックウッドです。
エステックウッドとは国産杉を200℃の高温で窒素加熱処理した材のことで、薬剤不使用のため環境負荷が少ないのが特徴です。 防腐・防虫・耐水性に優れ、高乾燥材であるため非常に軽く、木材特有の形状の狂いが少なくなっています。
もともと、伝統工芸であった仙台埋木(うもれぎ)を再現する目的で開発されたものなので、焼き杉とは違った深い味わいの木肌を持っていて外壁材に最適です。 価格はサイデングと比べてもそう高くはなく、耐久性のある自然素材を考えるなら、お薦めの一品と言えるでしょう。
エステックウッドとは国産杉を200℃の高温で窒素加熱処理した材のことで、薬剤不使用のため環境負荷が少ないのが特徴です。 防腐・防虫・耐水性に優れ、高乾燥材であるため非常に軽く、木材特有の形状の狂いが少なくなっています。
もともと、伝統工芸であった仙台埋木(うもれぎ)を再現する目的で開発されたものなので、焼き杉とは違った深い味わいの木肌を持っていて外壁材に最適です。 価格はサイデングと比べてもそう高くはなく、耐久性のある自然素材を考えるなら、お薦めの一品と言えるでしょう。
2013年7月3日水曜日
スイッチプレートならNK SERIE
私の事務所では、どの様な建物でも共通して使用している標準仕様というものを持っていますが、スイッチプレートもそのひとつです。神保電機のNK SERIE シリーズがそれで、このスイッチプレートは見ての通り非常にシンプルで美しい。プレートのエッジに丸みがなくシャープで、スイッチ部分も1個用はこの様に大きいが、2個用、3個用はこれを分割してゆく形になります。
一般に普及しているパナソニックのコスモワイドシリーズは、使っているとスイッチのバネがいかれてしまうことがあり、機能的にもNKの方が優れものと言えるでしょう。
NKは色が3種類あり、ピュアホワイトは漆喰等の白い壁にマッチします。値段は同じ神保電機のNKPシリーズの3倍ほど高価ですが、工事費全体の中で考えると大した事はなく、こういう些細なところでしっかりお洒落するのが設計事務所らしい仕事と言えるのではないでしょうか?
一般に普及しているパナソニックのコスモワイドシリーズは、使っているとスイッチのバネがいかれてしまうことがあり、機能的にもNKの方が優れものと言えるでしょう。
NKは色が3種類あり、ピュアホワイトは漆喰等の白い壁にマッチします。値段は同じ神保電機のNKPシリーズの3倍ほど高価ですが、工事費全体の中で考えると大した事はなく、こういう些細なところでしっかりお洒落するのが設計事務所らしい仕事と言えるのではないでしょうか?
2012年12月3日月曜日
呼吸する家をつくる”スーパー白洲そとん壁”
北海道由来の高断熱・高気密住宅、大学時代にお世話になった先生が中心となって新木造在来構法が開発されたのは、今からもう30年も前のことになるが、グラスウールによるこの充填工法は首都圏では結局普及しなかった。その理由は簡単で、断熱の伝統の無いこの地域では大工さんが防湿気密シートをきちんと貼る、という認識がなく、施工者に敬遠されて来たからである。
「外断熱」がブームになったのは、それが充填断熱より優れているからではなく、単に施行が楽だったからに過ぎない。それをメーカーや施工者が如何にも充填断熱より優れている様に装って、消費者に高い買い物をさせていた、というのが実態である。
しかし、今でも高断熱・高気密住宅は魔法瓶の様な住宅で、関東という温暖地に向かない、というイメージを持ち続けている人は以外と多い。そんな人に限って、断熱も気密も中途半端な家の中で石油ストーブを炊いて、この上ない不健康な生活をしているのである。
さて、北海道の様な寒冷地においては、冬場の内外の温度差が大きいので高気密でなければ途端に内部結露を起こしてしまうのだが、実は、首都圏の様な温暖地においては、高気密でなくとも高断熱の家をつくることができる。
透湿性の高い材料を組み合わせることで、内部結露を起こさずに室内で発生した水蒸気を外部に排出してしまう外壁を構成する事ができるのである。
外壁通気層を設ければ、選択できる素材は以外と多いのだが、通気層を設けない本当の「呼吸する壁」をつくることができる外装材が唯一ある。
それは、高千穂の「スーパー白洲そとん壁」で、九州のシラス大地から生まれたこの材料は透湿性が高く、それでいて防水性がある左官材である。セルロースファイバーとこのスーパー白洲そとん壁を組み合わせた外壁は、今のところ唯一の「呼吸する壁」と言えるだろう。
写真は私の現場ではじめて白を使ってみたところ。塗り始めは殆どセメント色で、色を間違っているのではないかと心配になったが、乾いてくるとだんだん白っぽくなってきた。しかし、最終的に真っ白になる訳ではなく、やはり少しグレーがかった色に落ち着いた。
外壁の左官仕上げは、いつもクラックが問題になるが、そとん壁は殆どその心配が少なく、例えクラックが発生しても、何か魔法の液体の様なものを塗ると、すぐにクラックが消えてしまう。
通常、「掻き落とし仕上げ」とするが、ザックリとした感じが重厚感を感じさせる。掻き落とし仕上げの場合、出隅部分は掻き落としができないので、縁取りをした感じになるが、それが嫌な場合は「スチロゴテ仕上げ」にしたりする。いづれにしろ、塗り壁としてはなかなかの優れものである。
「外断熱」がブームになったのは、それが充填断熱より優れているからではなく、単に施行が楽だったからに過ぎない。それをメーカーや施工者が如何にも充填断熱より優れている様に装って、消費者に高い買い物をさせていた、というのが実態である。
しかし、今でも高断熱・高気密住宅は魔法瓶の様な住宅で、関東という温暖地に向かない、というイメージを持ち続けている人は以外と多い。そんな人に限って、断熱も気密も中途半端な家の中で石油ストーブを炊いて、この上ない不健康な生活をしているのである。
さて、北海道の様な寒冷地においては、冬場の内外の温度差が大きいので高気密でなければ途端に内部結露を起こしてしまうのだが、実は、首都圏の様な温暖地においては、高気密でなくとも高断熱の家をつくることができる。
透湿性の高い材料を組み合わせることで、内部結露を起こさずに室内で発生した水蒸気を外部に排出してしまう外壁を構成する事ができるのである。
外壁通気層を設ければ、選択できる素材は以外と多いのだが、通気層を設けない本当の「呼吸する壁」をつくることができる外装材が唯一ある。
それは、高千穂の「スーパー白洲そとん壁」で、九州のシラス大地から生まれたこの材料は透湿性が高く、それでいて防水性がある左官材である。セルロースファイバーとこのスーパー白洲そとん壁を組み合わせた外壁は、今のところ唯一の「呼吸する壁」と言えるだろう。
写真は私の現場ではじめて白を使ってみたところ。塗り始めは殆どセメント色で、色を間違っているのではないかと心配になったが、乾いてくるとだんだん白っぽくなってきた。しかし、最終的に真っ白になる訳ではなく、やはり少しグレーがかった色に落ち着いた。
外壁の左官仕上げは、いつもクラックが問題になるが、そとん壁は殆どその心配が少なく、例えクラックが発生しても、何か魔法の液体の様なものを塗ると、すぐにクラックが消えてしまう。
通常、「掻き落とし仕上げ」とするが、ザックリとした感じが重厚感を感じさせる。掻き落とし仕上げの場合、出隅部分は掻き落としができないので、縁取りをした感じになるが、それが嫌な場合は「スチロゴテ仕上げ」にしたりする。いづれにしろ、塗り壁としてはなかなかの優れものである。
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