(株)野平都市建築研究所が、これまでの家づくりで使用してきた様々な建築材料の中から、これはいい! と思ったものを独断と偏見で紹介するブログです。ぜひ、あなたの家づくりの参考にして頂ければ幸いです。
2010年9月20日月曜日
すっきりと目立たない天井点検口
木造住宅などではあまり天井点検口を設けることは少ないが、
ちゃんとした第三種24時間換気システムなんかを付けると
排気ファンを納めた位置に天井点検口が必要となる。
通常のアルミ既製品の点検口はアルミの枠が目立って頂けないが、
今日、紹介するのはナカ工業の 「ハイハッチMM (目地タイプ)」
これは目地棒の様に枠が細く目立たない、すっきりとした目地タイプの天井点検口。
道具不用で開閉できるスライドロック。
枠は標準はアルマイト仕上だが、白目地タイプもある。
枠内に納める面材は通常プラスターボードの厚みを想定して作られているが
今回はサワラの板15mm厚張りの天井に付けるので
板厚を薄くスライスして納めてもらった。
昔から愛用している点検口である。
2010年9月8日水曜日
断熱性に優れたお洒落なスクリーン
今日紹介するのは、セイキ総業の「ハニカムサーモスクリーン」
ポリエステルの不織布でできたスクリーンで、構造が蜂の巣の様なハニカム構造になって、中に空気層を形成し、夏は遮熱効果が、冬は断熱効果が非常に高いスクリーン。
断熱サッシと合わせれば、熱貫流率はサッシだけの場合の半分近くまで落とせる。窓廻りは如何に断熱サッシを使っても、外壁の断熱性能の1/5〜1/7位しかないから、熱的にはいずれにしろウィークポイントとなる。
ハニカムサーモスクリーンは、窓廻りのこうした弱点をカバーしてくれるので北国では定番だが、首都圏では殆ど知られていない。しかし、最近流行りの「内窓」を設置するなら、こちらの方がずっとスマートでお薦め。
柄物はないが色の種類が豊富で、シンプルでお洒落。
窓廻りをレースとカーテンとしたい場合は別だが、ハニカムサーモスクリーンは閉めると障子紙の様に外光を柔らかく拡散してくれる。
また、開けると蜂の巣状の空洞がしっかり畳まれてすっきりと上部に納まる。
やはり、価格がちょっとネックになるが、設計の段階からしっかり断熱計画をするなら、結構使えるアイテムである。
2010年8月16日月曜日
土台気密パッキン「ノルシール」
土台気密パッキンとは主に高気密・高断熱住宅で使われるものである。
温暖地においては、床下を「外」と考える伝統があるので、床下換気口を付けたり、最近では基礎天端と土台に間に基礎パッキンで隙間を空けて、そこから床下の換気をしているのが一般的だが、高気密・高断熱住宅では床下も「室内」と考えるので、基礎天端と土台の間に隙間ができない様にするために、「気密パッキン」が必要になる。
この気密パッキンはメーカー各社から出されているが、その多くはEPDMゴム発泡体で作られている。
EPDMフォームは高圧縮時には高い気密性を発揮するが、少しでも圧縮率が下がると気密性能が大幅に低下してしまうという欠点がある。
ここで紹介する「ノルシール」はPVCを機材とした独立気泡構造を持つ発泡シール材で、元々、機械関係の接合部の気密、防水パッキンとして使用されており、対薬品性、摩耗性に優れ、柔軟性に優れており、経時変化に対しても、また、低圧縮時においても高い気密性を保持する。
住宅用としてはまだメジャーではないが、基礎天端に不陸があっても気密性能を発揮できるので、こだわりのある設計者にとっては、ちょっと隠れたお薦め建材である。
住宅の土台用気密パッキンとしての製品「ノルシール」は、「共ショウ」という会社から発売されており、防湿フィルム付きで位置決めがし易い様になっている。
2010年8月10日火曜日
石化する塗り壁「モノプラルKS」の魅力
イタリアの街の旧市街を歩くと、外壁の大きな石積みに圧倒されるものだが、それもおよそルネサンス期までの建物で、ヨーロッパの町並みを構成する建物の多くはレンガ積みに塗り壁を施されたものである。
フランス等で長年培われたそうした塗り壁材を日本に取り入れたのがゲーテハウスの「モノプラルKS」である。
これは生石灰を主成分としているため、施工後、長い年月をかけて空気中のCO2と反応して石化、即ち、石灰岩になってゆく、という代物。
天然顔料によりカラーバリエーションも豊富で、色落ちの心配もなく、塗り替えの必要がない。
防水性が高く、かつ透湿性があるため、壁内結露の心配も少ない。
しかし、この材料の魅力は、まず、壁に模様を入れたり、ボーダーを入れたり、ひとつの平面を自由に塗り分けられることである。
さらに、自由に凹凸を付けたり、レリーフを施すこともできる。
マットな重厚な感じのテクスチャーもなかなかいい。
これでヨーロッパ調の家が自由に造れるが、日本という土地でこれを使ってどうデザインするかは、設計者の力量にかかっている。
2010年8月6日金曜日
木造軸組工法の盲点は釘にあり!
最近の住宅は、筋交いだけでなく構造用合板で壁倍率を確保することが一般的となって来ました。設計においては簡単な計算で木造住宅の耐震強度を持たることができますが、しかし、現場では意外と強度の足りない耐震壁が作られているのです。問題は「釘」にあります。
基準法では使用する釘の種類やピッチが決められているのですが、現場では間違った釘が使われていることが多々あります。釘については実は、設計者も大工さんもよく分かっていないのです。ツーバイは元々枠組み工法なので釘が命であり、ツーバイ専用のCN釘(太め鉄丸くぎ)が使われていますが、在来ではN釘(鉄丸くぎ)を使わなければならないことになっています。しかし、法律で決められていながら、関東地方にはN釘が殆ど流通していなかったという事情(木構造建築研究所 田原の田原所長に伺いました)もあり、大工さんも殆どよく分からずに梱包用に使う様なNC釘(ロールくぎ)などが使われていたりしました。これでは、計算上の強度はでないため、法改正された関西淡路大震災以降も在来工法の住宅では結構、強度不足の住宅が多く存在するものと思われます。
また、現在は殆ど釘打ち機が使われるので、釘頭が合板の中にめり込んでいる場合も多く、これもまた強度不足の原因になっています。
そこで、今日、紹介するのが安田工業の「スーパーLL釘」です。これはステンレス製の釘で、釘胴部にスクリューニング加工を施すことで抜けに対処し、釘頭を大きくする事で釘頭の合板貫通を防止したものです。勿論、国交省の認定を受けた商品で、その実験結果からも釘によって耐震強度が大きく違ってくることを実証しています。
値段は勿論、少し高いですが、家一軒分で+5万円程度のものです。地震国日本で安全に賭ける費用としては微々たるものと言えるでしょう。
ちなみに、安田工業は安田財閥の創始者、安田善次郎が作った東洋初の洋釘会社です。
(写真左からNC釘、N釘、スーパーLL釘)
2010年7月31日土曜日
外付けブラインドシャッター
夏場の日射遮蔽の手段は、軒の出や庇の長さをきちんと計算して設けるのが、今でも最も効果的な方法である。
しかし、東面や西面については太陽高度が低いので、軒の出や庇では対応できない。
昔ならヨシズを下げて対処したものだが、いづれにしろ、日射は部屋の外で遮るのが肝要である。
最近は土地が狭いためか、デザイン的にモダンな感じが求められるためか、屋根は殆ど軒の出はなく庇もない家が多い。
そこで、夏場の日射を遮るのはブラインドやカーテンに頼らざるを得なくなるが、窓の室内側に設けるブラインドでは太陽の熱を50%も遮る事はできない。
ここで紹介するのは、オイレスECOの電動式ブラインドシャッター「サンシャディ」である。
サッシの外側に取り付け、自由に羽根の角度を調整でき、シャッターとして完全に閉め切ることができる。
この効果は抜群で、どの方位に対しても日射をしっかり遮る事ができるので、室内の温度環境をしっかり保つ事ができる。
オイレスECOでは、この他、手動式のブラインドシャッター「ミラレス」もあり、これらは、サッシメーカーのシャッターと比べてもその機能性と意匠性が高く、愛用の一品である。
2010年7月22日木曜日
主婦が選ぶ洗面化粧台
住宅の設計をしていると、主婦からは「できるだけ掃除がし易い様に、、」という注文が必ず付く。
先行きの見えない時代、共働きの家庭も多いが、それでも家の管理は主婦に任されているのが現実だから、できるだけ掃除が楽な家にしたい、というのは主婦の宿願とも言えるだろう。
そんな主婦達が洗面化粧台を選ぶ時に、最近最も多いのが、
INAXのピアラ。
洗面ボウルの背面がせり上がっていて、そこに水栓が付いている。
洗面器の外に水栓を付けると、そこが汚れ易く、掃除がし難いと言う訳である。
ピアラは、バリエーションのある収納家具付きの洗面器だが、単品でも取り付けられる。
ここでは施主の要望に合わせて、化粧台を大工さんに造作してもらった。
メーカー各社から多くの洗面器が出ている中から選ばれる「ピアラ」は、結構、主婦の気持ちに応えている様だ。
2010年7月9日金曜日
フラットに使えるフロアコンセント
2010年6月25日金曜日
凄い透湿面材!「ケナボードS」
最近の木造住宅では外壁面に構造用合板を貼って壁倍率を確保するのが一般的になってきましたが、構造用合板は透湿抵抗が大きいので、充填断熱を考えると室内側に気密シートを貼らなければ内部結露の危険性が高いと言えます。
しかし、一般的にはこうした内部結露の問題には無頓着な設計者が多く、高気密・高断熱を意図しなければ気密シート張りをする設計者は殆どいません。
例え、気密シート張りをしても首都圏の温暖地では気密シートの意味を良く理解している施工者が少なく、いい加減な施工がなされて、内部結露を引き起こしているケースが多いと言えるでしょう。
そこで今日ご紹介するのが、パナソニックの「ケナボードS」という面材です。これは多年草のケナフから作られた透湿面材で、透湿抵抗が構造用合板の1/10しかありません。しかも、僅か4.5mmの厚さで構造用合板以上の壁倍率が確保できるという優れものです。
これを使えば、首都圏地域なら、気密シート張りなどしなくても内部結露の心配の少ない充填断熱ができます。
同様に杉皮や杉の未利用材から作られたエコ建材として以前からダイケンが出している「アセダスD」があります。これは、壁倍率が1しかありませんが、ケナボードよりずっと価格が安いので、私はこの2つの面材を巧く使い分けています。
長持ちする家を作りたければ、こうした透湿性のある材料を巧く組み合わせて内部結露の心配の少ない家づくりを心掛けたいものです。
日本の木造技術は、できるだけ湿気を溜めない技術だったのです。それは今でも変わりません。
(写真、下の青いボードがアセダスD、上がケナボードS)
2010年6月22日火曜日
ナガイの遮熱シート
最近、屋根からの輻射熱対策として遮熱シートが用いられるケースが増えて来た様に思いますが、私はナガイの「イーストルーフ」という遮熱シートを使用しています。
NASAが開発したと言って盛んに営業していたリフレクティクスとか、アストロ-Eといった製品も使った事がありますが、これらは素材自体に透湿性がないので、室内から漏れ出る水蒸気を逃がすための通気層と、輻射熱を反射するための隙間としての通気層という2重の通気層を設けなければならず、大変苦労しました。(普通はそんなことおかまいなしに使っている様ですが、、)
しかし、このイーストルーフは、遮熱、透湿、防水を兼ね備えているので通常の屋根通気層を設ければ、内部結露の心配をせずに済みます。
上に上げた写真は、発泡プラ系の断熱材を外張りした上にこのイーストルーフを張っているところです。この上に通気胴縁を打って野地板を張ります。
さて、このナガイという会社のHPに「夏涼冬温の家」というページがありるのを私も最近知ったのですが、私が「高気密・高断熱」後の家づくりとして考えていたことが正にここに書かれていたので、大変嬉しく思いました。そして、ナガイが取り扱っている製品をみても、永井社長の家づくりに対するしっかりしたビジョンが感じられます。これからも、もっともっと日本の家づくりにいい建材を開発、提供して頂ければと思います。
2010年6月20日日曜日
セルロースファイバーの魅力
セルロースファイバー断熱材(以下、CFと表記)は、まだ断熱材と言えばグラスウールしか知らなかったような時代からすでにあったのですが、未だに断熱材の我が国におけるシェアを見ると、グラスウールが約50%を占め、次に外張り断熱で躍進している発泡プラスチック系の断熱材が入り、最近では自然系の断熱材も種々出て来ていますが、CFはほんの2%に過ぎません。
この様にCFは未だにマイナーな存在に甘んじていますが、実はなかなかあなどれない存在!
CFが結構、一般に知られる様になったのはつい最近のことで、山本順三さんの「この本を読んでから建てよう」とか「無暖房・無冷房の家に住む」という本でCFを強烈にアピールしてからです。
この山本順三さん、とっても口の悪い人で、本書の中で名だたる大学の研究者達をバサバサと切っています。私の恩師もバッサリ切られました(笑)。口は悪いけど、言ってる事は結構正論で、実際に断熱施工を営んでいる断熱屋のオヤジの経験値には圧倒されるものがあります。
さて、CFは皆さんご存知の通り新聞古紙から作られる木質繊維の断熱材です。充填断熱材として使用される断熱材の多くはマット状のもので、壁の中に筋交いなどがあるときちんと充填するのが難しいのに対し、CFはホースで壁の中に吹き込まれるため、壁の複雑な形状の中にもきっちりと充填され、断熱不良箇所ができ難いという利点が有ります。しかし、私がお薦めする理由は、やはりその保湿性能にあります。即ち、高気密・高断熱も透湿抵抗理論もよく分かっていない本州のビルダーや設計者が充填断熱を計画するなら、最も内部結露に対する安全性の高い断熱材であると言う事ができます。高気密・高断熱住宅で指摘される冬場の過乾燥や室内の反響音の問題についても、CFは効果的であると言えます。
さて、CFのメーカーは製紙業界大手が中心となっていますが、小さな会社が夫々独自の違いを出しています。例えば、デコスはCF中に糊の成分を入れて、施工後に自沈して上部に隙間がでてしまう、というかつてのCFの欠点を解消しています。しかし、糊で固めるCFというのは廃棄処分時の問題等を考えると個人的にはちょっと。そこで私は「マツナガ」のCFを使っています。
「マツナガ」のCFは先の問題を麻の繊維を混入する事で解決しています。しかし、このCFはもの凄い高密度で(64k/m3くらい)で挿入されるので、元々沈下するという感じは全くありません。また、当然、断熱材なのですから、CFの断熱性能が気になるところですが、これは同じ厚みで発泡プラスチック系の断熱材と同等の断熱性能を発揮しています(通常、繊維系の断熱材は100mm厚で、発泡プラ系の50mm厚相当)。これは、やはりその密度の高さによるものと言えます。
羊毛断熱材もCF同様、保湿性、吸放湿性のある断熱材として自然住宅を売るビルダーに珍重されていますが、やはりその密度が低いので断熱性能は全くCFには及びません。また、羊毛断熱材で私が気になるのは、それは100%オーストラリアやニュージーランドからの輸入に頼っているという事です。「フードマイレージ」という言葉が少し前に流行りましたが、断熱材の様な軽くてかさばるものを遠方から輸送エネルギーをかけて運んでくる、というのは、他の自然系の断熱材同様、それだけで環境に対する矛盾を感じます。
CFは元々木の繊維ですから自然素材と言って良く、国内生産される上に一時生産エネルギーが最も小さい断熱材です。断熱性能が高く、その保湿性が内部結露の危険性を緩和してくれるCFは、一押しの断熱材といっていいでしょう。但し、専門業者による責任施工となるので、発泡プラ系の断熱材による外張り断熱と同等の金額になります。しかし、自然系を望むならやはりCFということになります。
(写真はマツナガのMS工法)
2010年6月18日金曜日
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